「スキ資本説」に係る開述文

これまで、いろんな企業を観てきましてね、好業績になっていく企業と、そうでない企業とでは、トップと90分ほどコミュニケーションすると、違いがなんとなくわかるようになってきました。何がどう、とは明言しにくいのですが、直観的にわかるのです。
実のところ、3分も話せば見えてくるのですが、確実さを取って90分ということにしています。これは決してトップの品定めをするという話ではありません。
ヒトには向き不向きがあるというだけの話です。ひとりひとり、持ち味が違う。
ちなみに私はトップには向いていません。非公式リーダーとか、経営参謀という立場に向いています。だからこそ、ある時にそのことに気づいて、60歳から「想いの経営」パーソナル・ナビゲーターを稼業にしています。
昭和・平成・令和の時代を生きてきて、現在75歳になりますが、一つだけ、はっきりと言えることがあります。
それは――ヒトは「スキ」なことをしないと、あかん、ということです。
ヒトは何かしらの「スキ」を持って、それを通して、互いに仕え合い、生きていくようになっている。だからこそ、「スキ」と「スキ」との交差が、世界にちょうどええ調和をもたらしてくれるのです。
ただし、このことが本当に腑に落ちたのは、令和になってからのことです。
ひとり一人の収入は、「スキ」度合いの発揮に比例して決まるようになってきています。
幸福度もまた、その人らしく生きられているかどうかで決まってくる。
「スキ」というのは、本当に不思議なものでしてね。
「なぜこの世が存在しているのか?」という問いの不思議さと同じレベルで、不思議な存在なのです。
だからこそ、「スキ資本説」なるものを提唱して、お互いの「スキ」を発揮し合う世界を目ざして、私は日々はたらきかけているのです。
さて、話を最初のところに戻しましょう。
企業のトップは、経営が「スキ」な人がやるのがいちばんです。
ですから、創業者と経営者は、別モノである場合もある。
後継者であっても、経営が「スキ」でない人は、無理して社長になったらあかん。
自営業でも同じことで、企業経営が「スキ」な人がやれば、たいていは繁盛します。
そうでない場合は、なかなか繁盛しません。私がその、ええ例です。
経営参謀は「スキ」やけど、企業経営は「スキ」やない。
だから「想いの経営」京都研究座会は、正直あまり業績が芳しくない。
でも、好きな経営参謀をやらせてもらって、クライアント企業の業績が伸びているのは嬉しいし、ほんまにありがたいことです。
ということで、まとめておきます。
令和の時代は、自分の「スキ」で自分をマネジメントする時代です。
このことと企業経営とを混同せず、それぞれの「スキ」を大事にしながら、皆さんどうか幸せになってください。
はいな。